院長が補聴器フォーラム東北2023で講演しました。
令和5年7月16日東北医科薬科大学内で行われました、補聴器フォーラム東北2023の第二部講習会、補聴器外来を作ろう・補聴器外来での他職種の役割の中で、開業医の立場から補聴器外来における他職種連携について講演しました。
今回は東北医科薬科大学で行われるということで、講演させていただきました。東北医科薬科大学病院耳鼻咽喉科と大和耳鼻咽喉科医院の補聴器診療、耳鳴りなどの聴覚異常感の診療における病診連携について、補聴器や耳鳴り治療器を用いてできること、限界について、簡単にお話しさせていただきました。
補聴器の普及に関して個人的な意見になります。補聴器自体は必要な方にとってはとても良いものだと思いますが、最多価格帯が1個10万円前後であり、両側装用すると20万円前後になります。補聴器を用いた方が、会話などのコミュニケーションがとりやすくなり、認知機能の維持にもつながるということは大体の方は理解していると思います。しかし、補聴器の価格が補聴器を用いた際のメリットを十分に満たすのかどうかということが懸念されて補聴器購入へ向かわないのだと思います。かつ、補聴器の不適切な販売、調整不足、またはご本人の補聴器、難聴に対する理解不足によって「補聴器を用いても聞こえるようにならない」「補聴器は役に立たないからずっとしまいっぱなしになっている」など補聴器が悪い評判となることで、さらに補聴器から遠ざかってしまうのだと思います。
私が考える耳鼻咽喉科医としてできることは、難聴、補聴器について適切に相談に乗ってあげることではないかと思います。正直、難聴があったら補聴器をつけた方がいいということはなんとなくみんな知っていると思います。では、どうやって補聴器を購入したら良いのか、どのタイミングで補聴器を購入したら良いのか、どの価格の補聴器を購入したら良いのか、補聴器をかけたらかえって聞こえが悪くなるのではないか?(→そのようなことはないですが・・)など、さまざまな疑問点について個々の背景をとらえた上で、適切に答えて、難聴、補聴器に対して一定の理解をしてもらうことが一番大切と思います。
私が、この診療所で勤務して5年くらいになります。難聴、補聴器について相談される方が多くいらっしゃいました。患者さんにさまざまなことを質問されるのですが、意外なところで悩んでおられたり、私が医師であるが故にあまり気に留めていなかったところを質問されたりすることも経験しました。全ての質問に関して適切に答えられていたかは何とも言えませんが、できる範囲で精一杯答えるようにはしました。
補聴器を用いた方がいいということの啓発も大切とは思いましたが、それを受け止める医療者側の意識の向上が最も大切であると改めて感じさせられ、今後も真摯に診療に取り組まないといけないなと実感しました。